緑色なのに青汁というワケは
青汁の起源
緑黄色野菜をすりつぶしたものが現在一般的に青汁と呼ばれています。この青汁の中には豊富に含まれる食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが身体に有効に働き、野菜不足と言われる現代人にとって手軽に摂り入れることが可能な健康食品です。
元々古来日本では薬の変わりに植物の生の葉を使用していましたが、千年以上前の医術の本にもその処方例が出ており、すりつぶして患部にあてたり薬草をせんじて飲むなどしていたようです。
このように古来からの土壌はあったものの今現在の青汁の型となるものを作り出したのは遠藤仁郎博士です。
遠藤博士は明治33年に岡山に生まれ、大正14年に現在の京都大学である京都帝大医学部を卒業し現在の関西医科大学である大阪女子医専の教授に就任して昭和18年から青汁の研究を始めました。
青汁は遠藤博士が昭和20年に赴任した倉敷中央病院で病院食として出され、遠藤青汁と呼ばれて、戦中戦後の食糧不足や栄養不足に貢献したそうです。
所属していた近辺に青汁を配るなどしていたところ飲んだ人の体調が良くなったりと栄養補充に有効だったようです。
青汁が病に効き目があるということ遠藤博士自身やその家族が患った肺炎や急性腎炎が毎日飲むことで治った経験より治療薬として効果があるということで活用していたようです。
戦後も遠藤博士は医師として働きながら青汁を研究し、ケールによる青汁を完成させました。
農薬や肥料で栽培せず清浄なケールを使用した青汁は今の青汁の原点となり、遠藤博士は青汁の父と呼ばれています。
青汁の名前の由来
青汁は色が緑なのに青と表現しているのには、日本語古語での用法で野菜を青菜と表現するといったことの名残であるといえ、昔は緑を青と呼んでいたようです。
青汁自体の名前の由来は、青汁の創始者である遠藤博士の奥様であるヒナ子夫人によるもので、実際「あおしる」なのか「あおじる」なのか定かではなかったものの、遠藤博士は「あおしる」と呼んでいたそうです。しかし周囲の人が「あおじる」と言っていたことから現在でも「あおじる」という呼び方がなじんでいます。
広辞苑にも「あおじる」は載っており、その意味として次のような定義がされています。
① 青色の汁。生野菜をしぼった汁。
② ゆでたホウレンソウをすって白味噌をまぜてこし、すまし汁でといて魚菜などを入れた料理。
そして①については1993年以降に東京の遠藤青汁友の会の田辺弘氏の申し出によって追加されたようです。
古き時代から「あおじる」として親しまれている青汁はこのようなところにもあらわれています。
当時は治療として使われていた青汁も目的意識は変わったものの、人々の健康維持のための食品として今も注目され続けています。